グリーン税制
(古い車への環境税)


 環境問題において、10年以上前に登録された車への自動車税の増税の問題です。
 基本的には、ニュース等で見ただけなので浅い知識ですが、ちょっと思うことがあるので、このコーナーを作りました。最近のニュースでは車検等の兼ね合いで車齢13年(ディーゼルは11年)を超えた車への課税となるかもしれないとのことですが・・・
 


 東京都で自動車に関する税金について増税が行われそうな感じです。また運輸省も似たような増税案を考えているようです。
 どうやら、環境問題に配慮しての増税で、新型の低燃費車には減税らしいですが・・・、環境問題において、単に年式で区別してよいものでしょうか?確かに、税金を決めるときには、一定の基準等において線引きが必要なのはわかるのですが、その基準に問題があるような気がします。

 問題点の指摘に入る前に まず自動車にかかる税金を3つに区別したいと思います。
 1.購入にかかる税金:自動車取得税
 2.維持にかかる税金:自動車税や重量税
 3.走行(使用)にかかる税金:ガソリン等の燃料にかかる税金

以上3つです。

 増税が検討されている自動車税は、自動車を保有(ナンバーを取得)すると、それだけで毎年かかる税金です。
 ここで、疑問なのは自動車を保有しているだけで、環境破壊するのかということです。
 古い車の燃費は最近の車より悪いので、一定の線引きとして10年で区分けしたということらしいです。たしかにその通りで、古い車の燃費は、新しい同じような車種のものにくらべ悪いのは事実だと思います。そして、自動車税以外に増税の方法がないのなら、自動車税増税も環境のためにはやむを得ないでしょう。
 しかし、基本的に主として、自動車は走行することによって環境破壊を行うのです。故に、行量に対して課税するべきだと思います。
 極論ですが、古い車を持っているだけの人と新しい車だけどすごく走る人を比べると、どちらが環境に悪いかは一目瞭然でしょう。
 よって、環境に配慮することが目的の税金なら走行に対して、すなわち燃料に対して課税するべきなのです。仮に走行距離が多くても燃費の良い車なら、ガソリンの使用量は少なくなるので、燃費の良い車を買うインセンティブにもなるので、燃費の良い車との矛盾点も生じません。
 ある自治体の考える税制だと古い車の買い換えに促進がかかるとは思いますが、その廃棄された車の解体作業は、やはり環境へ悪影響を与えるのです。それもまずいのではないでしょうか。古い物を大事に使用するのも一つの環境への配慮だと思います。また、新しい車を作るのにも環境破壊は伴っています。

 結論としましては、課税の基準車が生産された年式に求めるのでなく、燃料に求めるべきで、燃料への課税にするべきだと思います。また、結果として低燃費車への減税にもなるのですし。
 ただ、燃費以外の面で、例えば触媒の技術とかで排出ガスのクリーン化に貢献している車へは、別途配慮が必要だと思います。これは純粋にガソリンの消費量とは比例しないので、燃料への課税以外での配慮が必要となるでしょう。となれば、1.購入にかかる税金:自動車取得税2.維持にかかる税金:自動車税や重量税となるのですが、購入後の使用ということを考えると、2.維持にかかる税金:自動車税や重量税の減税が望ましいと思います。もしくは、新車で売れないと普及しないという観点からは、1.購入にかかる税金:自動車取得税の減税も意味があると思います。LEV車は、通常の車と別税率にするとか(この辺はすでに実施されていますが)です。車は車検があるので、維持に関する税金の場合でも、この辺の区別は容易かと思われるのですが・・・。環境対策の有無を年数で区切るよりもはるかに合理性があるように思えます。
 但し、ここでの減税及び増税という表現は、他の条件の車との相対的な意味です。自動車社会による環境破壊に対しての環境対策費用が全く足りない場合は、全ての条件の車種に関して絶対的な意味での増税が必要になるかもしれませんし、道路財源として、より多くの費用捻出のため絶対的な意味での増税が必要になるかもしれません。物価の変動も絶対額の変動の要因となることでしょう。故に現在の各税金の金額に対しての増減税ということでなく、他の条件の車と比較して、その税額を多くする(増税)べきか少なくするべき(減税)かということです。

 雑誌記事によると、東京都の立場は、10年以上前の車は環境対策がなれてないと判断するとのコトらしいです。しかし、現在生産されている車の中でも環境対策されているものもあればそうでないものもありますし、同じモデルの車でも登録年数によって税額がことなるのは公平性を欠くと思います(車は同型の生産年数が数年間ありますから)。
 正直な感想としてまして、真剣に環境問題を真剣に考えての政策でなく、環境問題に配慮しているという姿勢を示したいだけのパフォーマンスに感じられます。そこで、とりあえず10年以上前の車を悪者にしてヤリ玉に上げている感じがします。そもそも自動車税の課税の区分は排気量で、それに登録年数が加わっても、環境破壊の度合いとの関連を持たせるコトは大変だと思いますので、現行のままでは環境対策の税としてのベースとしては不具合が大きいのではないでしょうか。

 以上、主として自動車の走行による環境破壊について述べてきました。以下は参考程度の話です。
 しかし、自動車による環境破壊を考えると、走行による環境破壊以外にも、生産による環境破壊と解体による環境破壊があります。
 生産による環境破壊に対して、環境保護のために課税するならば、生産物を購入するときにかかる税金1.購入にかかる税金:自動車取得税に対して増税されるべきでしょう。
 解体による環境破壊に対して、環境保護のために課税するならば、解体費用に対して課税する必要があります。解体費用の消費税率をあげて、そのうちの一部(通常の消費税率との差額部分)が環境対策の税収となるとかの方法があると思います。

 環境問題からの燃料への課税について、もう少し補足しておきます。
 欧州の一部の国で、炭素税等の名称で、石油等の化石燃料対して課税が行われているところもあります。自動車の燃料はもちろん、発電所などにも課税されています。
 この方法ですと、自動車の生産や解体に要した燃料に対しても課税されることとなりますし、低燃費車や電気自動車(電気自動車の燃料も発電するときに環境破壊を行っている)に対しても合理的な課税が可能だと思います。
 これも環境対策の税金の一つとして有効だと思います。

 最後になりますが、今後の車社会のことを考えると、ある程度の増税はしょうがないのかもしれません。私個人としましては、増税は大変に辛いですが、社会全体の方向性としては、今までのような車天国の時代は終わりつつあるのかも知れません。
 しかし、きちんと環境対策を考えた結果の増税なら納得もできますが、単にパフォーマンス的なノリで増税は問題があると思っています。また、税金によっては、各省庁や自治体との間での問題もあるかと思いますが、役所の都合により安易な課税方法を選択するというのは、自動車の利用者の立場をないがしろにしていると思います。

●追記(平成12年9月12日)
増税のワリにはあまり騒ぎされないなと思っていましたら・・・この問題(自動車税)に関する新聞記事を発見しました。
・自動車税の関連記事が日経新聞の2000年9月12日朝刊の5面にありました。

●追記(平成12年12月6日)
 題名では10年前の車への増税となっていますが、どうやら車検の関係で、より正確には車齢13年(ディーゼルは11年)を超えた車への増税となりそうです。また、最近では、東京都レベルでの話しよりも国全地域レベルの話しの方が話題となっています。今回、題名にも少し言葉を付け加えました。
 また、地方税や国税の問題もありますが、真剣に環境のことを考えるのなら・・・そのような枠自体を見直せばよいと思っていたりもします(見直すならもっと総合的にといいますか・・・)
 しかし、これでは、自動車買い換え促進税制ですよね(T-T)。自動車会社には都合がよいかもしれませんが。また、いくら自動車関連の環境対策目的の税金だからといって、安易に決めてほしくはないです。あくまで増税なのですから。この問題以外でも、私は増税について認めるようなコトを書いてはいますが、あくまで、政府(&自治体)が歳出削減等の財政建て直し策を努力することが大前提です。
 最近の税制のお話(地方独自の税制も含みます)を見ると・・・環境問題にかこつけて安易な増税案が多いような気がします。
 

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