原付の法定速度


 原付の法定速度の問題について考えました。
 ここでの原付は第一種原動機付き自転車で排気量が50cc以下の車両を指します。
 法定速度については、原付の他に小型特殊車両も低速車ですが、小型特殊については、主に農作業用等に用いられており、その使用場所が限定的なため、問題点は少ないと考えられます。よってここでは取り上げませんでした。



1.現状
 現在の法定速度は30km/hです。


2.問題点

2-1.原付側から見て
 30km/hで走行していると、他の車両から追い越される(もしくは追い抜かされる)こととなり、危険があります(事故の可能性が高くなります)。また、他の車両と一緒に交通の流れにのって走行すると、道交法の条文の違反となりますし、もちろん捕まえられる可能性があるということです。そして同時に、道交法の目的である「円滑な交通」というコトに適するかという問題もあります。

2-2.他の(高速・中速)車両側から見て
 30km/hで走行している原付車両を追い越す(もしくは追い抜かす)こととなり、危険があります(事故の可能性が高くなります)。特に、片側1車線で交通量の多い路線では、速度の遅い原付が前を走行していると、後ろの車両は渋滞気味となることも多々あり、追い越し(もしくは追い抜き)にも大変な注意が必要で大きなストレスとなります。


3.法定速度の引き上げの意見
 原付の法定速度を引き上げようという意見もあります。そうすれば上記の問題点は解決されますし、また、その速度差から発生した「二段階右折」という原付特有のルールも廃止できます。
 「交通の流れに乗れる=危険の減少」という大きなメリットが生まれます。


4.原付免許取得の特徴
 原付の運転免許の取得は、筆記試験のみという点で、高速・中速車両の運転免許と大きく異なります。また、普通自動車の免許等を取得したら、二輪に関する免許を取得しなくても原付を運転するコトができます。
 すなわち、二輪車形態である原付を運転するに当たって、二輪の運転の特質を体験による学習(技能教習もしくは技能試験)なしに行うことができるのです。 
 原付が筆記試験のみで手軽に運転できるのは、多くの人が原動機付き車両の運転の機会を得られるという点ですぐれています。


5.私の意見

5-1.現行制度下において
 結論は「現状維持」です。
 法定速度引き上げのメリットは「交通の流れに乗れる=危険の減少」ですが、現行制度の筆記試験のみで運転できるというコトを考えますと、二輪の運転の特質を体験による学習(技能教習もしくは技能試験)なしのままで法定速度を引き上げることは事故の増加に繋がると予想されます。速度が上がると、運転は難しくなると同時に事故時における被害も拡大します。すなわち危険が増加します(デメリット)。
 よって、メリットとデメリットが相殺されてしまいます。また、現在、町中を走行している原付を見ると、その手軽さゆえか、運転状態は他の車両よりも悪い場合を多く目にする確率が高いような気がします(他の二輪自動車に比べて母集団/台数が多い為かもしれませんが)。そのような運転を見ていると、自転車感覚で運転されているように感じます(自転車も法律/一時停止等を守らなければならないのですが・・・)。運転状態から考えると、デメリット(危険性)の方が多くなるような気がします。故に、現状維持の方がベターだと考えます。

5-2.法定速度を引き上げる場合
 結論は「技能試験の実施も必要である」ということです。
 「危険を減少させる=安全性確保」のために、法定速度を上げることを考えますと、その為には、デメリットである速度上昇による危険性を減少させる必要があります。
 よって二輪の運転の特質を体験による学習が必要であると思います。これは教習所による技能教習のことです。でも、習わなくてもその技能を有していれば良い(逆に言えば、習ってもその技能を拾得できなければ意味がない)ので、最終的には技能試験に合格できれば良いというコトなのですが。故に法定速度を引き上げる場合には技能試験の実施が必要であると考えます。もちろん、公認教習所での技能試験も含まれます。また、技能試験が加わり手軽さが無くなることによって、自転車感覚による運転が減る可能性もあります。
 でも、そうすると原付(第一種原動機付き自転車)のメリットは小型二輪(第二種原動機付き自転車)と比較してほとんど無くなってしまいます。

5-3.私の現行制度下における原付に対する考え方
 確かに、幹線道路等を通行する場合には、原付はまわりの交通とはなじめません。しかし、簡単に免許を取得できるというのは大きなメリットだと思います。近場だけを手軽に移動したい人には、技能試験を受けなくてすむというのは大きなメリットだと思います。技能試験を受けるには時間的及び費用的なコストがとてもかかりますから。
 よって、原付は本来、ごく近距離用でもっと地域限定的な用途に用いられるべきなのではないでしょうか。あまり幹線道路を走るような乗り物ではない(そのような目的として法律が整備されていない)ということです。現代の技術では原付でも長距離移動できるでしょうし速度も十分に出せると思いますが、法律がそのような使用方法を目的(前提)としていないと思います。それ故にメリット・デメリットがあるのだと思います。
 また、5-2で述べたように、法定速度を引き上げて技能試験を課した場合は、原付(第一種原動機付き自転車)のメリットは殆どなくなりますので、原付(第一種原動機付き自転車)の意味がなくなると思います。
 よって、手軽な乗り物としての原付(第一種原動機付き自転車)は残しておいて、幹線道路を交通の流れにのり安全に走る為には小型二輪(第二種原動機付き自転車)以上の交通手段をとるべきだと思います。
 逆に言えば、原付(第一種原動機付き自転車)では、あまり幹線道路を走らないようにして、幹線道路をたくさん走る目的で二輪を選ぶ(購入する)場合は、小型二輪(第二種原動機付き自転車)以上のものを選ぶようにするべきだと思います。




 ・・・って、こんなコトを書いたら、原付ファンの方からお叱りを受けそうですね(^^;;


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